様々なサービスや事業、企業活動において、「アウトソーシング」「シェア」「サブスクリプション」といった新しい形が採用されるケースが増えている中、ついに「上司」を定額制で貸し出すサービスが現れました。
それが「シェアボス」。主に新規事業立ち上げやIT化推進プロジェクトなどで、ITやデジタル分野に長けた人材を上司として定額で貸し出す(シェアする)サービスです。
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IT事業の上司を社外から採用する「シェアボス」
東京のカーマンライン社が始めたシェアボスという新たなサービスには、以下の特徴があります。
今や経営活動におけるIT化の波は、ますます大きなうねりとなって押し寄せています。大企業のみならず、中小規模の会社においてもIT化の遅れは命取りとなるほどの流れ。
問題は、的確にIT化の舵取りを任せられるハイクラスの人材不足です。優れたITスキルを持った人材は若手を中心に大勢いるでしょうが、それにプラスして経営判断を伴うプロジェクトを動かした経験のある人となると極端に少なくなってしまうのが実情です。
その逆もしかり。多くの新規事業を成功に導いた経歴を持った人材でも、現代の最先端で進化し続けるIT・デジタル分野に長けている人となるとほとんどいなくなってしまう。
両方を兼ね備えている限られた人材は、引きも切らずにやってくる新たなオーダーで手一杯で、手を広げることは難しい。
シェアボスは、そういった現代のひずみに手を差し伸べて、今の時代に合ったスタイルで多くの需要を生み出す可能性を秘めているのです。
社内のIT化推進を計画しているのに人材不足で二の足を踏んでいた企業が、どのくらいシェアボスという新しいサービスを活用していくのか、大いに注目したいところです。
会社の壁を越えても発揮できるスキルがあるか
シェアボスをはじめとして、ITなど高度なスキルを持った人材は引く手数多の状況が続いています。
「高度なスキル」とは、一つの会社だけで通用するものではありません。どんな会社でも、さらには別の業種・業態でも再現性があり、効果的に活用できて、経営状況を向上・あるいは好転させるために役立つものです。
そして、転職市場において最も優遇されるのも、「様々なシーンで効果を上げられるスキル」を持った人材なのです。
厳しさを増している今の社会で、どの企業もしっかりと成果を出してくれる人材を探しています。20代前半の若手はポテンシャル(潜在能力)を重視するのは建前ですが、本音では若くても高度な能力を持った人に来てほしいと切望しています。
まして30代以上であれば、目に見える成果が出せない人材はただのリスクでしかありません。
シェアボスに関しても、「契約期間中の人材変更は何度でも可能」とあります。ボスとなる人材自体であっても、一瞬の油断もできない立場だということ。
ただ、本当に実績を出せる人であれば、シェアを希望する企業は果てしなく増えていくことでしょう。(中には、他にはないほどの好待遇で独占契約したいと申し出る企業もあるでしょう)
大切なことは、どこでも通用する技術や能力を身につけ、新しい状況下でも効果的にその力を発揮していくことなのです。
客観的な市場価値は転職のプロに見立ててもらう
では、今自分自身に本当に高度なスキルがあるかどうかは、どう判断すればよいでしょうか。
おそらく1人でそれを行うのは至難の業です。自分が担ってきた実績の評価軸が、自分の会社単位ではないからです。他社の実績を知る方法など、多くの人は持っていませんし、業界全体の状況も公の調査資料で垣間見るガイドライン的なものが大半です。
今の時代、ビジネスパーソンである一個人の客観的で冷静な評価は、転職市場という膨大なフィールドで多くの会社を見つめている転職エージェントにしてもらうのが一番です。
転職のプロとして多くの企業や事業に関わっている実績、転職市場で膨大な人材を採用へと導いてきた経験、常にアップデートされる様々なデータとその有効な活用など、あらゆる方面から転職希望者の市場価値をはじき出せるのが、優れた転職エージェントの強みでもあるのです。
個人で転職活動を行うより、エージェントの強みを活用するに越したことはありません。
また、転職エージェント自身が成果をあげるためにも、個人の市場価値を正確に把握することは必須条件です。
転職エージェントは、人材を企業に紹介して、その人が採用に至った時に、成功報酬としていくらかのマージンを得るのがビジネスモデルです。
つまり、その人自身の能力を見極め、どのような価値があるかをチェックして、それを求める企業とマッチングを成功させなければいけない。
ただ安易に、転職希望者を囲い込むために良いことばかりを並べ立てても仕方がないのです。
自分自身の客観的な市場価値が高いか低いかを判断するには、エージェントのスタッフとのコミュニケーション度合いで測ることも(ある程度は)可能です。
優秀な人材だとエージェントが判断していれば、スタッフとのコミュニケーションは密になります。なんとかしてあなたを希望する会社に(尚且つエージェントが推したい企業に)採用されるよう、様々なアドバイスやサポートなどの対策を行ってくれます。
反対に、市場価値が低いと判断されると、コミュニケーションは乏しくなります。アンケートなどチェックリストの項目と機械的にマッチングしただけの「おすすめ企業紹介メール」が主になり、心強いサポートなどは期待薄になることも。
そのあたりはシビアです。ただ、そうして自分自身がどのくらいの位置にいるのかを己に知らしめることも、必要なことと言えます。
転職エージェントについては、こちらの記事も参考にしてください。
参考:転職が初めての人こそ上手に活用したい。転職エージェントは採用までの頼れるパートナー
時には「会社」という視点をはみ出してみる
以前、リクルートの転職雑誌の広告コピーで、「仕事を聞かれて、会社名で答えるような奴には、負けない。」というものがありました。
このコピーの訴えるものは、今の時代でもある部分で共通しています。
個人の能力よりも会社の名前が優先しているようでは、他の世界で生き抜くのは難しい。
その会社に勤めていることがステイタスであり、誇りのすべてである。そんな自分になっていないか。
大手企業、上場企業の肩書きを外しても、堂々と己を名乗れるか。今の会社というヨロイを脱いだ時、生身の自分で戦えるか。
どれほど優れた会社であれ、この先永遠に存続していくかどうかは誰にもわかりません。数年先でもわからないと言えます。
まして一社員の立場となれば、たとえ自分自身は一生勤めていたいと懇願し続けたとしても、どんな理由でそれが叶わなくなるか、わからない。
企業は企業で、様々な形でコストを絞っています。本来、経営活動の柱である営業という仕事でさえ、アウトソースする大企業が多々ある時代です。
もちろん、今目の前の仕事に精一杯取り組んで、しっかりとやり遂げることは前提です。
ただそこに、「この会社を飛び出してもやっていける力はあるか」「今と違う場所でも輝けるようにするためには、どんな働き方をすればいいか」そういった視点を持っているだけで、日々の取り組み方は変わってくるものです。
いたずらに転職を煽っているわけではありません。ただ、この先の時間を幸せに生きていくために、今自分自身で何をすべきか。そういった問題意識を持っている人とそうでない人は、1年後2年後、大きな差がついているのではないでしょうか。