転職活動をスタートさせても、いきなり目当ての企業への転職を成功させられる人は限られています。現在は数字の上では売り手市場ですが、皆が希望するような企業には当然応募者も殺到し、一握りの人しか採用のゴールにはたどり着けません。
とはいえ、何回何十回と応募し続けても、志望する会社のレベル(あえてレベルと言いますが)を下げていっても、いつまでたっても「お祈りメール」しかもらえないのは、応募者本人に何かしらの原因があるはずです。
今回は、何度も失敗しがちな人の考え方や、失敗が続くパターンについて解説し、そこから抜け出すための方法について述べていきます。
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転職がうまくいかない理由は一人ではわからない
残念ながら、不採用となった企業からは、「なぜ採用されなかったのか」という理由を教えてもらうことはできません。実は、失敗続きの転職活動の恐ろしさはここにあります。
「どうして自分は採用されないのか」「何か間違ったやり方をしているのか」といった反省点が必ずあるはずなのに、自分ではそれがわからないまま応募を続けてしまうので、改善ができずに同じ失敗を繰り返していくことになるのです。
失敗する要素を放置したままで転職活動を続けても、「運良く」どこかの会社に引っかかるということは、まずありません。採用に至るにはしっかりとした理由があり、それに合致しなければ、運だけではどうにもならないのです。
やって当然の転職活動対策
まず、ほとんどの人が実践しているであろう転職活動対策・失敗を防ぐ方法とは、以下のものではないでしょうか。
・応募企業を絞り込みすぎない
・希望年収を高く設定しすぎない
・応募企業について詳しく調べる
様々な転職情報をチェックしてみると、これらの内容が挙げられていることが多いようです。
「企業の絞り込み」「希望年収の高望み」については、突出したスキルやキャリアを持っている人であれば、むしろ訴えるべき要素になりますが、一般的な人材(なかなか採用に至らない方)であることを自覚している人は必ず踏まえておくべきものでしょう。
「詳細な調査」も、面接に臨む際はもちろん、書類提出時からできる限りのリサーチをしておかなければ、自分をアピールするどころかその他大勢から抜け出すことはできません。
つまり上記の方法は、前提としてやっておくこと、やって当たり前のことになります。このレベルで「私は失敗しないための対策をしている」と思い込んでしまっては、まったく話にならないということです。
やって当然のことは余計におそろかにはできません。企業を詳しく調べていれば、競合や市場のこともわかってくるでしょう。先入観だけでは見つからなかった他社や関連市場にも注目できて応募先も広がり、そこで働く人たちの年収相場も見えてくるため見当違いな年収アピールは避けられるはずです。
「できること」「やりたいこと」を徹底して研ぎ澄ませておく
書類選考が通り、面接まで進んだら、企業側が応募者について何を知りたいかを理解して、それに的確に答えることが重要です。これも当然のことなのですが、わかったような気はしていても、実際には的外れな回答をしてしまう人が非常に多いのです。
企業側が知りたいことは、応募者が「できること」と、これからその会社で「やってみたいこと」です。
特に30代では、できること=持っているスキルや実績をわかりやすく具体的にアピールする必要があります。
「営業として様々な商品の販売を手がけてきました」
「エンジニアとして顧客のシステム全般の開発に携わりました」
「お客様第一という姿勢で接客を頑張ってきました」
このような、どこかふわっとした回答では、相手の頭には何のイメージも浮かんできません。よく広告コピーで「快適なくらしを実現します」といった物言いがありますが、それくらい、言っても言わなくてもどうでもいいような回答になります。
重要なのは具体性とわかりやすさです。しっかりと業務を責任もってやり遂げてきた人ほど、具体性があり聞く人にシーンを描いてもらえるような回答を伝えられるのです。
何を扱う会社でどんな仕事をしてきたのか。経験はどのくらいで、どういった技術を持っているのか。その技術を使って、どんな経験を積み上げてきたのか。
【アピールが弱い例】
「B社で産業用ロボットの開発設計を手がけてきました。顧客の要望に応える機能をつくるために、知識や技術習得に励みながら、精進してきました」…これくらいでは弱いのです。初めて話を聞く人に、一発で何かしらの印象を残すためには、当たり障りのない内容では不充分ということを理解しておきたいところ。
【アピールOK例】
「2015年に産業用ロボット開発を扱うB社に入社しました。オリジナルの金属加工システム技術について研究・開発を進め、それを汎用ロボットにも組み合わせていくのが主な仕事です。最近は樹脂や炭素繊維など新しい素材も増えてきて、それらに対応できる新技術も開発テーマとなっています」…これは架空の実績例ですが、一歩踏み込んだ回答をすることで、他の応募者との差別化も図れ、採用担当者へのアピール度も非常にアップしていると言えます。
なんとなく仕事をしてきた人や、自分のキャリアの棚卸しがしっかりできていない人は、具体的な話ができません。もしも自分に思い当たるふしがあるなら、脳みそをフル回転させて具体的な実績アピール文を作り上げ、事前にそれを暗記するくらい回答シミュレーションを行っておくべきです。
「やりたいこと」についても同様です。中には、未経験の分野の仕事をやってみたい人も多いでしょうが、「経験はありませんが、やる気はとってもあります!」といった熱意アピールだけで終わってしまってはダメ。
未経験の仕事をマスターしていくために、すでにこういった勉強をしている。経験はないけれど、できるようになるための知識や経験をどうやって積んでいくかの道筋を描いている。これも具体的に語れることが求められます。
まったくの夢物語では話にならないので、あくまで実現可能な将来像であることは前提です。
20代、第二新卒といった若い世代の人なら、「できること」よりも「やりたいこと」を重視される傾向はあります。キャリアよりも熱意や潜在的なチカラを期待されているからです。
これが30代以降になれば、当然即戦力としての期待値が高くなるため、「やってきたこと」「今できること」をいかに新会社で生かしていけるか、といった点を重視されることになります。それも入社後にすぐにモノになるレベルを期待されることも珍しくありません。
「できること」「やりたいこと」に関する質問は、どこでも聞かれる内容でしょうし、なんとなくうまくまとめられてしまいがちなもの。そこを妥協することなく、いかに自分らしさ=具体性を織り込んでいけるかが、採用の成否を分ける大きなカギとなるのです。
その会社で自分がどう働くかをイメージしておこう
いくつも会社を受け続けるとおざなりになってしまうことですが、その会社で実際に自分がどう仕事をしているかを想像することは大事です。
どんな部署で、どんなポジションで、上司(部下)や同僚たちと何を目標として働いていくのか。そこで大事になるのも、やはり具体的な想像力です。
その企業のことを詳しく調べつくし、社員の働きっぷりまでシミュレーションしながら、チームの一人として自分がいるシーンをイメージする。そこに違和感なく入り込めれば、その会社はきっと自分に適していると言えます。
転職活動でなかなか良い結果が出ず、どうしても数多くの会社に応募しなければならないから、一つの会社にそこまで固執できない、と思うのは早計です。同業であれば、その業務知識はどんどん積み重なっていきますし、ライバル社であれば強み・弱みの比較もできるはず。より多面的な見方を心がけることで、「具体性」「独自性」がより強固なものになっていくのです。
くれぐれも、落ちてしまった会社と同じような内容の書類や、コピペ丸わかりの回答などは避けること。相手に覚えてほしい自分の印象は、決してそのへんのコピペした内容ではないはずなのですから。
転職エージェントを活用して情報収集を図ろう
希望する会社を詳しく知り、具体的な対策を組み立てていくために、まず取り組むべきは効果的な情報収集です。
それも、ネット上にあふれているような誰でも知っているものではなく、ピンポイントで狙った会社の生きた情報を得ることが重要となります。
それができるのが、転職のプロである転職エージェント。転職エージェントは、独自のネットワークで、非公開の求人情報やその企業の内情・採用状況などを把握しており、常に最新の情報を網羅しています。
個人がそういった情報を得るには、まずはエージェントに登録すること。そして専任スタッフと一緒に志望する企業の情報・状況を検討しながら対策を取っていくことこそが、転職を成功させる足がかりとなるのです。
転職エージェントについて、こちらの記事も参考にしてください。