30代・40代・50代と、社会人経験や業務スキルを備えた人の転職は、当然ながら新卒時の採用試験とはまったく別物です。
これまでの輝かしいキャリアや実績をアピールすれば、新天地への転職もたやすいはず…と思っていたのに、なぜか面接試験を突破できない。
何度やってもうまくいかないと、あがいている人も多いのではないでしょうか。
しかし、今までの自分をしっかりと見直すことで、失敗続きの面接にピリオドを打ち、望む企業へ転職を成功させることは可能です。
今回は、一人よがりの面接で陥ってしまいがちなやり方を修正し、実際の面接の場で十分に活用できるポイントについて解説していきます。
Contents
思い込みや勘違いで面接を失敗していないか
あまり深く考えずに行動するタイプ。思い込みが強く、情報を精査しないタイプ。そういった人は、本来の目指すべき方向を見失ったまま、やみくもに突き進んで失敗することがよくあります。
転職活動でそんなことをしていては無鉄砲、浅はか。もしかしたら、スタートラインにさえたどり着いていないのかもしれません。
何のための採用か。企業の目的を理解している?
企業が中途採用を行う際の「目的」は、いくつかのパターンに分けることができます。
1.ポストの欠員補充
2.人員不足の解消
3.新規事業起ち上げに向けた採用
上記の1〜3はそれぞれ優先されるポイントが異なってきます。
たとえば「1.ポストの欠員補充」であれば、転職希望者同士の競争であると同時に、前任者との比較も採用要件になる可能性があります。
ポストに応じて、これまでのマネジメントスキルや経験値が重要視されるでしょう。
「3.新規事業起ち上げに向けた採用」の場合であれば、同じように新規プロジェクト起ち上げの経験などを持った人が優位になってきます。
その中途採用が何を目的にしているのかを、まず確認しておくことが重要です。
なぜ中途採用するのか。企業ニーズを理解している?
採用の目的と同様に、中途採用には企業側の「具体的なニーズへの対応」が求められます。
たとえば、あるチームのサブリーダー的役割の欠員募集の時には、「リーダーとしての実績を持つ人」よりも、「リーダーを支える仕事ができる人」が採用されることになります。
どれだけ自分の立派なリーダー経験をアピールしても、企業側のニーズにはまらなければ、採用には至らないという例になります。
応募した側にすれば、どんなに自己PRをしてもそれが採用ポイントにならなかったということを理解できなければ、また同じ失敗を繰り返す可能性は高い。
今回の中途採用は、企業はどんな人材像を求めているのか、きちんと理解・把握した上で、面接や書類作成対策をとることが必要なのです。
自分のアピールポイントを整理できている?
また、よくある失敗例として挙げられるのは、「とにかくじっくり話せばわかってもらえる」とタカをくくってしまうケース。
自分の魅力やアピールポイントは、とても一言では語り尽くせない、1から10まで丁寧に伝え切ろうとしても、1人に充てられる面接時間には限りがあります。
面接を評価裁定する意思決定者ともなれば、そうそう1人の応募者に時間を割けないことも理解できるはずです。
「この人の印象は良い・悪い」を決定するのは、面接の最初の5分である、という話もあります。
じっくりと順序立てて自分を評価してもらう、という悠長な考えではなく、ピンポイントで自己アピールできるよう準備しておくことが、面接突破・採用への近道となるのです。
ピンポイントアピールの例としては、これらの方法があります。
少し古い例ですが「自民党をぶっ壊す!」「郵政民営化!」といった小泉元首相のワンフレーズ・ポリティクスが好例です。
わかりやすく端的なフレーズで自分を言い現すことができれば、伝えるスピードも浸透度も抜群に良くなります。
「新規プロジェクト請負人です!」「絶対にあきらめない人間!」など、前向きなアピールを短いセンテンスに込めてみることを一考してみましょう。
これまでのキャリアを総ざらえしてアピールする時間はとてもありません。ですから優先順位をつけて、その企業・中途採用に適切だと思われるキャリアや実績を、一番良いものから順に伝えていきます。
これは新聞記事の書き方でもありますが、もしも途中で話が途切れたとしても、最初に言いたいことを伝え切っておくことで、肝心なポイントの伝達ロスを防ぐ方法です。
上記の「キャッチコピー化」「優先順位化」を取り入れて、それらを1分でしっかりスピーチできるように、シミュレーション&トレーニングしておくことです。
1分で話をうまくまとめるのは、その場でいきなりはなかなかハードルが高い作業です。
あらかじめ順序だてて話す練習をしておくことは、自分の中でピールポイントを整理し直すことにもつながります。
書類選考後の面接でチェックされるポイントとは
書類選考を経て面接の場にたどり着くということは、ある程度自分と同じレベルのライバルたちと競い合うということです。
となれば、少しでもライバルに差をつけていくように対処しなければ、採用はままなりません。
その際に、面接でチェックされることは、書類上ではわからなかった様々なことになります。
まずは、コミュニケーション能力をはじめとする、ヒューマンスキル。
営業職の募集に限らず、どんな職種でも、コミュニケーションはビジネスの基本であり、また大きな部分を占める要素です。
スムーズに会話していくことももちろん大事ですが、しっかりと丁寧に自分の言葉で話ができれば、多少たどたどしくても構わない、という採用担当者は意外といます。
(むしろ、そこに誠実さや懸命さを見出すことも)
さらには、発想力、指導力、目標達成力など、話をしながら様々なポイントを推し量り、見極められることになるのです。
また、面接時に判断されるのは、「この人は即戦力になり得るか」「どのくらい投資すれば滞りなく業務遂行できるか」といった点です。
これまでのキャリアや実績と、企業ニーズとのマッチングはどうなっているのか。
企業に足りないピースを埋めるのはもちろん、さらにプラスアルファの付加価値まで実現可能な人材か。
要するに、現実的に「何ができるのか」を見られています。
新卒採用ではない、非常にシビアな視点から、総合的に判断されるのです。
面接で好印象を与える小ワザ
それから、相対して話をする際に気をつけるべきは、まずは相手に悪い印象を与えないこと。
一つ効果的なテクニックとして、「ミラー効果を利用する」という方法があります。
これは、相手(面接官)が笑顔になったら、こちらも笑顔で答えるといった、ミラー(鏡)リングを活用した対応で、口調や動作が似た相手に対して好感や親近感を抱くという効果があります。
お互いに真剣な話をしているので、なかなか緊張は解けないかもしれませんが、笑顔になることはそうした心の硬直をほどく作用もあります。
「相手が笑顔になったタイミングで、こちらも笑顔になる」という約束事を一つ守るだけで、他の様々な話題や対話がスムーズになる可能性は高いのです。
覚えておくと重宝する、面接時のテクニックです。
面接に臨む時には下準備をしっかりと
実際に面接の挑む前に、その企業のことをどれだけリサーチできているかも、面接時の対話や採用可否に影響を与える重要なポイントとなります。
そもそも転職希望して応募する企業は、採用情報などではじめて知るというところも多いでしょう。
採用情報という限られた内容だけでその企業を判断するのは非常に危険です。
少なくとも、企業のWebサイト、ネットニュースの検索、四季報や業界誌があればそちらの掲載情報など、あらかじめ見てチェックすべき事柄は多いです。
採用内容でも思い込みは禁物
そして、採用情報の中でも留意しておきたい項目はいくつかあります。
待遇など「委細面談」「前職を考慮して決定」といった書き方では、実はその時点では何もわからないのと同じです。
前職を考慮してくれるなら、このくらいは給料はあるだろう…と勝手に思い込むのは危険です。
まずは面接時に具体的な内容をしっかり話し合えるのか、話し合えたとして実態は受け入れられるのか、ある程度は想定して面接の場に臨むことをおすすめします。
曖昧な箇所をよくわからないままで話を進めてしまい、入社後に「こんなはずでは…」とガッカリしてしまうのは、もったいないことです。
その企業がブラックかどうかを見極める上でも、あらかじめリサーチできるところ、確認できるところはは把握しておきましょう。
いきなりの筆記テストにも慌てずに
面接試験と言いつつも、同時に筆記試験があることも少なくありません。
あらかじめ連絡はなくても、準備・心構えだけはするようにしておきましょう。
職種を問わず行われるのはSPI試験です。漢字の読み書きや、簡単な計算問題、時事問題、英語、ビジネス基礎知識など、幅広い分野にわたりますが、なるべく新しい問題集を一冊はやっておきましょう。
企画系の職種に見られるのが、作文のテストです。漢字の知識、文章構成、その人の物の考え方など、これも様々な特徴が読み取れるものです。
作文は応募書類と一緒に提出を求められることもあります。内容はもちろんのこと、誤字脱字、氏名の漏れはないかなど、何度も推敲して作り上げましょう。
面接が苦手な人ほど「転職のプロ」に教えを請うべき
面接が苦手だと自分自身でわかっているなら、様々な対策や打開策を実行していることでしょう。
ただ、転職活動においてもっとも有効な面接対策は、転職エージェントでアドバイザーに教えを請うことです。
なぜなら、転職エージェントは全国各地のあらゆる転職活動の様子が集約されています。当然、どんな面接方法がうまくいったのか、どんなやり方がうまくいかなかったのか、常にリアルな情報が集まってきています。
さらに、目当ての企業ではどんな質問の傾向があるのか、面接担当者がどんな人かなど、外には決して出てこない情報も事前に知っておくことができます。
少なくとも、転職エージェントを利用していない人と比べれば、面接を受ける時点でかなりのアドバンテージを得ることができるのです。これは大きなメリットです。
エージェントの担当者(キャリアアドバイザー)は、客観的にあなた自身を見てくれます。長所も短所も把握して、どんなアピール方法がもっとも的確かをアドバイスしてくれます。
自分一人でやみくもに当たってみるよりも、はるかに効果的で効率の良い対策を実現できるのです。
応募時のニーズをしっかりと理解しておくのは当然として、転職エージェントを活用することで、さらに転職成功の確率を上げていくべきです。
転職エージェントについて、こちらの記事も参考にしてください。