「クラッシャー上司」とは、部下への指導が度を越したパワハラとなって、罵声・暴言を浴びせまくり、時には恫喝まがいの言動や暴行までしてしまう人。
部下のミスをあげつらい、いつまでも粘着質に責め続けるような人です。
過大な成果を当然のように求めることも多く、そのせいで部下たちのやる気がそがれるどころか、うつ病など精神的に追い込まれて退職・休職に至ってしまう…
本来なら現代社会にあるまじき存在であるにもかかわらず、実際にはあちこちで見受けられます。
運悪くそんな上司の下に配属されて、なすすべなくつぶされてしまっては、せっかく会社に入った意味がありません。そんな人に自分の生活を狂わされるのは、まっぴらです。
上司への対応を考えること自体も癪ですが、万事うまくいった時の爽快感をイメージしながら、クラッシャー上司対策をしていきましょう。
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クラッシャー上司への対応策
一刻も早くクラッシャー上司と決別するために、どう動くべきか。選択肢はいくつか考えられます。
人事部に相談する
現代の企業は、パワハラやセクハラに代表される「○○ハラスメント」にとても敏感になっています。
おおっぴらにハラスメントな行動をしているような人物なら、すぐに人事考査に響いてくるはず…なのですが、狡猾なクラッシャー上司は人事の目をすり抜けることに長けた人も(残念ながら)います。
日常的に「圧」を受けている人は、それだけで能動的な行動ができなくなってしまっていたりします。ただそこで現状をあきらめずに、人事部に駆け込むことが大事なのです。
まともな組織であれば、社員の切なる訴えには対応してくれるはずです。
正面突破な方法ではありますが、自分だけで抱え込んでしまっていては埒があきません。
さらに上役を巻き込む
一般的にクラッシャー上司は、下には強面で、上にはこびへつらう者がほとんどです。
クラッシャー上司の上長に相談して、悲惨な現状をどうにかしてもらうことは手っ取り早い一手です。
上長になるほど、会社全体の経営が上向きになることを重視しています。
理路整然と説明すれば、パワハラ的で無茶な要求をし続けることが、その部署の生産性をいかに悪化させているかをわかってもらう。
そうなれば何らかの下知が行われることになります。
注意すべき点は、告訴する上長とクラッシャー上司の関係です。
クラッシャーがその上長の子飼いだったりすると、逆効果となって返って自分の身が危うくなります。
社内派閥や人間関係などはリサーチした上で、行動に及びましょう。
成果を出し続ける
クラッシャー上司のもとで一生懸命働くことは腹の虫が煮えくりかえる思いでしょうが、長い目で見て自分に利があると考えたら実行してみるのも一つの方法です。
仕事ができる人限定になりますが、とにかく上司の想定通り・想定以上の成果や結果を出していくことで、何も言わせない状況をつくっていくのです。
「こんなに実績をあげている人にあれこれ叱責するのは、どう考えてもおかしい」という雰囲気を部署全体で持ってしまえば、クラッシャーの方が邪魔者になり、立場が逆転する可能性も高くなります(役職ではなくイメージ的な立場ですが…)。
ここで注意すべきは、頑張って出した成果を「これも俺の指導のたまものだ」と厚顔無恥な態度でクラッシャー上司に自己肯定されてしまうこと。
そうならないよう、クラッシャー上司のやり方とは別の方法で成果を出す必要があります。そのため、対策としては非常に難しいものであると言わざるをえません。
排除する
思い切った手段として、クラッシャー上司を辞めさせる・異動させるという手があります。
「クラッシャー上司」というのが元々は労働問題に関わる用語であったように、非常に危険な存在として認識されています。
暴言・罵声の録音、行きすぎた指導(まがいの恫喝)の証拠、精神的にやられた人の診断書など、ありとあらゆる証明をしかるべき場所・役職に提示することで、今の職場からヤツを排除してしまうのです。
今どきの企業はコンプライアンスを重視し、社会的なイメージにもとても敏感になっています。
経営層などにそれら証拠を内部告発することでも、人事異動が行われることは意外と早いかもしれません。
ただ、これは社内政治的な面も大きいため、周到な準備が必要です。一人で実行するより、同じ悩みを抱いた仲間を募った方がいいでしょう。
クラッシャー上司自身が非常に仕事ができる人物であった場合など(困ったことにそういうケースも少なくない)、社内のパワーゲームにも影響してきて、下手をすると告発した方が飛ばされることにもなりかねません。
社外の機関、労基署やマスコミ、ネット上などに告発するのは最後の手段です。
会社自体のイメージも一気に悪くしてしまうため、それを行った自分自身も何らかの火の粉を被ることにもなります。
最近流行しているSNSなどへの投稿も、本当に緻密な計算の上でやるかやらないかを決めるのが良いでしょう。
イエスマンになる
いたずらに反抗する気持ちを持ち続けるのではなく、言われたことを聞き流しつつ、すべて肯定し受け入れるという判断ができれば、クラッシュ的な暴言や恫喝さえもダメージは激減させられます。
クラッシャー上司の考え方に同意する・甘んじてクラッシュ自体も受け入れることで、とにかく波風を立てない方向へとシフトするのです。
ただ、まともなやり方ではないため、一度実行したら引き返すことはできません。
多くの同僚から疎外される可能性も高く、いずれにしても針のムシロのような職場で働き続けることになります。
いろんな事情で今の仕事は辞められない人が、給料を稼ぐ以外のことは全部あきらめてただただ時が過ぎるのに身を任せる、ということです。
そんな生き方は選べない…という人にはおすすめできません。
異動願いを出す
精神的なレッドゾーンへと進んでしまう前に、自分から逃げ出すことも考えるべきです。
それができない(考えられない)くらい追い込まれてしまうことも多々あるので、早め早めに踏み出すことを日頃から意識している必要があります。
今のキャリアを捨てたくない、会社としての魅力は感じていると考えるなら、別の部署・他の上司のもとでの働き方を選ぶのがいいでしょう。
異動願いやその意思はクラッシャー上司本人ではなく、その上長や人事部門に投げかけてみることです。
クラッシャー上司に関しては、現代社会でも大きな問題と認識されているため、そのせいで仕事ができない・精神的に負荷が大きすぎるといった場合は、会社側も善処してくれる体制はあると思われます。
それすら聞いてくれないような会社であれば、何より自分自身のために、退職・転職を決めるべきでしょう。
クラッシャー上司につぶされては人生がもったいない
クラッシャー上司に接することで精神的にまいってしまうと、どうしても視野がごくごく狭くなってしまいます。
客観的な判断ができず、冷静に自分自身を見つめることも不可能となり、声の大きな人(クラッシャー上司)の言動に流されてしまいがちという、悪循環ができあがるのです。
今の会社に入社する時には、何らかの夢や希望を抱いていたことでしょう。
どんどんキャリアを積んでさらに大きくステップアップする道をもくろんでいた人もいるかもしれません。
そんな未来が、たった一人の狂った人物のせいでムチャクチャにされてしまうのは、どう考えても理不尽きわまりないものです。そこに納得できる要素など、一つもないのです。
自分の人生に、クラッシャー上司という異物が入り込んできてしまったら、即座に蹴り出すか、避けて通るか、誰かにどけてもらうか、何らかの対策を取らなければダメです。
もっとも避けたいのは、厳しく辛い状況をそのままにして我慢し続けることです。
クラッシャー上司のせいで悩んでいる人は膨大な数になっていて、社会的にも全員が味方になってくれる状況ができています。
恐れず、ひるむことなく、悩み苦しいままでいる時間から少しでも早く脱出できるように動き出してください。
クラッシャー上司ができるまで
今の時代になぜクラッシャー上司のような人物が生存しているのか。
ブラック企業でもない優良な会社なのに、どうしてブラックな人材がまぎれこんでいるのか。不思議に思う人も多いでしょう。
そもそも現在のクラッシャー上司は、彼ら自身が若い頃に(当時の)クラッシャー上司たちに育てられたことが原点となっています。
「24時間働きっぱなしでムチャクチャなやり方だけど、そのおかげで自分は一人前になれた」
「クソミソに言われ、どつかれ、死ぬほどやり直しもさせられたけど、全部上司の『愛』だった」
バブル期など、当時はヨシとされてきた風潮が社会人としての原体験で残っていて、そのやり方しか身につけていない人たちが、現在のクラッシャー上司そのものなのです。
今はまったく時代も働き方も違います。日本の世代的な話だけでなく、グローバルな市場で海外の人と働くようになり、クラッシュを伴う働き方の押し付けは世界の常識とはかけ離れたものであることが証明されています。
早晩、クラッシャー上司は消えていくことでしょう。まだ生存している今という時代に、そんな彼らの元で働かされることは不幸以外の何ものでもありません。
クラッシャー上司に遭遇したら、その状況からいかにして早く脱出するかが、幸せな働き方・生き方につながっていると言えるのです。