誰もが知っている大手グループ会社。業界内で確固たる地位を築いている系列会社の数々。
ブランドパワーがあり、学生の人気ランキング上位にも顔を出すような大企業は、魅力にあふれています。
ただし入社できるのは一握り。
しかし、グループ内の一関連会社や、子会社であれば、入社できる可能性はうんと大きくなります。
「有名な○○グループだから」という理由で飛びついていいのか、その名前やブランドに見合った働き甲斐や待遇は期待できるのか。
グループ内の各会社について、いろいろ解説していきます。
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グループ会社・子会社・関連会社の定義とは
グループ会社、関連会社、系列会社など、紛らわしい名称がいくつもあります。ですが実はそれぞれに意味があり、違いがあるので整理しておきましょう。
子会社
Aという会社がBという会社の議決権のある株式50%超を取得している場合、
B社=子会社
という位置付けになります。
比率が50%に満たない場合でも、営業方針の決定・役員派遣・資金面などを通して実質的にA社がB社を支配しているのであれば、B社は子会社となります。
株式を100%保有している場合は、完全子会社となります。
関連会社
子会社の場合と同様に、A社がC社の20%超の議決権を有しているのなら、C社は関連会社となります。
グループ会社
グループ会社という名称自体は通称です。会計ルール上の区分はありませんが、一般的には関連会社のような使い方をされている感があります。
系列会社
A社の仕事を長期に渡ってD社が取り扱っている場合、D社は系列会社と呼ばれます。
ただ系列会社の定義は曖昧で、A社とD社の間に資本関係はない場合もあります。
親会社と子会社の間にはどんな違いがあるのか
同じグループに属している会社の間でも、仕事内容や給与・待遇面で明確な差があることが珍しくありません。
親会社の一部門が独立してできた子会社や、グループに吸収された関連会社などの中には、親会社と同等の給与体系を取るところもありますが、そうではない場合の方が多いです。
仕事面の違い
子会社の仕事は、親会社とまったく別事業である場合もあれば、親会社の事業の一つに組み込まれていたり、同じ事業を別ブランドとして扱っていたりと、様々です。
親会社の一部門が独立してできた子会社の場合は、特化した仕事であるケースが多くなります。
研究開発部門や広告広報部門、販売専門の子会社などは数多くあります。
ただそれらの子会社を管理統括する役割を、親会社内の管理部門や、親会社から各子会社へ出向してきた社員が担うこともよくあるケース。
中には、専門特化した子会社の社員の方がプロ意識・専門スキル共に高度であるのに、親会社の管理担当が素人同然ということも。
ともかく、親会社が大枠の方針を決定してざっくりとしたコントロールをしてくる場合では、実際に手を動かし実務を担う子会社の方が、比較的自由な裁量権を持って働くことができます。
納期や品質・コストなどオーダーされたポイントを遵守することができれば、そこまでの過程は子会社側の思惑どおりに進められるのです。
また子会社はどうしても親会社より会社規模が小さくなりがちなため、社員一人でいくつもの業務を兼任することが増えてきます。専門でない業務を担当しなければならない場合もあるので、勤務時間への負担増大や品質の確保などといった問題も生まれてきます。
待遇面の違い
一般的には、年齢層・社歴・職種が同等の場合、親会社の方が子会社よりも多くの収入を得ることができます。
その差はケースバイケースですが、同じような仕事をしていても子会社社員は親会社の7割程度、ボーナスは半分という例も。
逆に、子会社の方が親会社よりも高給になることはほとんどありません。
ただ特殊な技術職など、個人レベルで突出した働きを上げられる社員であれば、この限りではありません(当然ですね)。
一般的な職種の場合は、親と子の格差は厳然たるものがあるのです。
しかしグループ内での差はあっても、日本全体ではどの程度の水準なのかという点も重要です。
日本人の平均年収は420万円と言われています(男性43歳、女性43歳時の平均)。会社規模や社歴など様々な要素が絡み合ってくるものですが、グループ内だけでなく、自分の周りと比較して納得できるのであれば問題ないでしょう。
一方で、福利厚生面に関しては、グループ全体が親会社に準じていることもさほど珍しくありません。
高給リゾートの保養所利用や、スポーツジムの優待会員、宿泊施設の優先予約などなど、グループ会社であれば同じように利用できるのはうれしいですね。
グループ会社としてのメリットを、こうした福利厚生面でアピールする会社も多いので、転職の際はそれ以外の点にも注意して「グループ内格差」をチェックしてみるといいでしょう。
子会社のメリットとデメリット
同じグループ内でも、子会社社員として働く際のメリット・デメリットに関しては、以下のものがあります。
子会社のメリット
親会社のブランドが使える
大手グループであれば、親会社のブランド力(のれんパワー)を仕事でも最大活用できます。あの会社のグループなら信頼できる…といったイメージを、一見さんや一般消費者に抱いてもらえるので、独立系の会社よりもアドバンテージを得た状態でスタートできるのが強みです。
親会社のノウハウが共有できる
仕事のシステム化や社員教育などにおいて、親会社や他グループ会社の成功事例を共有できるため、より効率よく業務を執り行えるようになります。
グループ内で仕事が回せる
「この仕事は子会社に」という流れができてしまっている場合が多く、競合の心配もなくグループ内で仕事が回せるため安定感があります。
子会社のデメリット
親会社よりも給料が安い
上記で述べているようにケースバイケースではありますが、多くの場合、同じような仕事をこなしていても親会社よりも給料は低く設定されています。
出世がしにくい
長く勤め上げて出世していきたいと願っても、ポストが親会社からの出向組で埋められているケースが多くなります。そのためどれだけ頑張っても、どれだけ会社に貢献しても突き抜けられないジレンマを実感することも。
親会社の事情で将来が変わる
経営がすべて上手くいっている時は問題ありませんが、親会社やグループ全体の雲行きが怪しくなってきた場合は、自分の子会社の経営状況に関係なく他企業へ売り渡されたりリストラされたり、といったリスクがあります。
子会社から親会社への転職は厳しいのが現実
グループ会社から、別のグループ会社または親会社へと転職したいと思っているのであれば、少し注意が必要です。
一般的には応募の秘密は守られるのが前提ですが、同じグループ間で転職したい社員については情報が共有される可能性を否定できないからです。
グループ会社Aからグループ会社Bへの転職を希望した時、どんな理由をアピールできるでしょうか。明快で、前向きで、グループ間の転職もこれなら納得できる、といった転職理由があるのなら大丈夫ですが、ネガティブな理由はもちろん偏った視野での的外れな意見を訴えてしまうと、応募先も現在所属している会社からも排除されてしまう恐れもあるのです。
また、子会社から親会社への転職を考えている人はいるかもしれませんが、非常に厳しい、ほぼあり得ないと言えます。
形式的には正規の採用手順を取ったとしても、一個人を子会社から引っ張ってくることのリスクや悪影響の方が、会社にとっては大きくなります。
その個人のスキルが非常に高く、親会社の中で活躍してほしい時は、多くが子会社から出向させる形を取るでしょう。その方が、親会社・子会社双方のメリットになるからです。社員個人のメリットやモチベーションは残念ながら二の次になります。
ただ例外もあります。たとえば広告会社の場合、電通九州など地域の子会社から電通(親会社)へと移っていく人は存在します。このケースでは各地域においてクリエイティブなどで特に優れた実績をあげた社員が、東京(親会社)でさらに高い能力を発揮できる活躍を期待されていると考えられます。
このように、希望する業種やグループ内でどのようなケースが過去にあったか、そういった情報を入手することができれば、自分自身の転職活動の指針にもなり得ます。
グループ外から転職するなら何を優先するかで決めよう
親会社にはグループのトップとしての大きなメリットがあり、その代償として社内にも厳しい生存競争があります。
子会社は、親会社に比べれば平穏で個人の裁量が多いケースも多く、その反面、待遇面や出世の点で親会社に劣るという現実があります。
親会社の役得をたくさん味わいたいのであれば、迷わず親会社を狙うべきです。またグループのブランドを生かした特化分野での仕事をひたすら頑張りたいなら、その希望は子会社で叶えられるでしょう。
もちろん、転職を希望するタイミングで採用の門戸が開かれていなければ話になりません。転職先として注目するグループ会社があるのなら、常日頃からアンテナを張っておくことや、情報収集に努めることが重要です。
ただ、自分一人では旬の情報やグループ内ならではの企業情報を集めることが難しい…
そう思うのであれば、転職エージェントを利用して効率良く的確な情報を手に入れましょう。転職のプロフェッショナルである転職エージェントのスタッフは、外には出ない情報や、あなたが希望する会社のピンポイントで有益な情報を知り得る立場にあります。
転職エージェントについて、こちらの記事も参考にしてください。