ある意味で会社の「何でも屋」的な存在であり、縁の下のサポート役である。それが総務の仕事のイメージです。
実際、非常に幅広い仕事を任せられることになるため、イメージ通りの仕事ではありますが、会社によって仕事内容が大きく変わることもあります。
総務募集では、未経験でもOKという場合が多く見られます。
未経験者でも採用にハンデはないのか、採用後もスムーズに仕事がこなせるのか、そういった点について解説していきます。
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「総務は未経験でもOK」には理由がある
総務の仕事には、ざっくりと考えるだけでも、庶務・営業事務・採用人事・労務管理・広報・法務・経理・財務・資産管理運営など、多種多様な内容があります。
大規模な会社ではそれぞれが独立したセクションとして分かれていますが、中小企業になるとこれらすべてを「総務」として一任されていることも珍しくありません。
それぞれの業務について、すべてにおいてプロフェッショナルなスキルを持つ人なんてそうそういません。
一般的に、「未経験でもOK」という条件を掲げている企業であれば、入社後に様々な仕事を順に覚えてもらうことを前提として採用活動を行います。
そこで採用のポイントとなるのは、意外と「未経験であること」だったりするのです。
その理由は、前職で多少なりとも総務で働いた経験がある場合、前の会社でのやり方が新しい会社に適していれば問題ないのですが、往々にして経験が逆効果となることもあるからです。
今までやり慣れた方法を変えていくよりも、まっさらな状態から素直に覚えていく方が、その会社ならではの総務として順応しやすいのは確かです。
未経験者を募集対象とする場合は、そういった流れを取ることがほとんどであるため、経験やスキルよりも、「素直であること」「積極的に仕事に向き合う姿勢」などが評価されることが多いのです。
未経験者で書類選考を通過して面接までたどり着いた場合は、基本的な事柄はクリアしていることになります。自信を持って、面接に臨みましょう。
正社員としての総務職は人物そのものが重視される傾向がある
総務の人材募集では、どういったタイプの人員が求められているかも、可能であれば見極めておく必要があります。
前任者が辞めてその補充募集であったなら、前任者と同じレベルの経験や技術が求められます。
前任者が「仕事ができる」人であったなら、やはり経験者を優先的に採用することになるでしょう。
一方で、一般事務を担当していた人が辞めた場合の欠員補充だったり、人員拡大の場合であれば、未経験者でも充分に採用の可能性があります。
また、総務職は派遣社員で補うことも多々ありますが、正社員としての総務募集であったなら、仕事の経験値よりも応募者そのものを評価する、人物重視の傾向が高くなってきます。
正社員としてこの先も長く勤めてもらうために、周りとの協調性や仕事への取り組み姿勢などを重視しての採用を目論むというわけです。
もちろんその場合も、パソコンやビジネスソフトの使用スキル、一般的なビジネスマナーの習熟度、簿記の資格などは、プラスαの大きなアドバンテージとなるので、身に付ける努力を怠らないようにしたいものです。
面接時のよくある質問&具体的回答例
総務としての経験はなくても可。人柄や人物本位の採用基準を設けている会社も多い。
では、そうしたポイントを見定めるために、どのような質問が面接時に投げかけられるのか、ここでは具体例を挙げて解説していきます。
未経験ながら総務を希望する理由は何ですか?
前職は営業事務をしており、会社の業務全般を見渡せる部署でもありました。
そんな中で会社全体がスムーズに機能できるよう、縁の下の力持ちとして働きたいと考えるようになり、総務を希望しました。
また広報の仕事にも興味があり、採用となった際にはそうした仕事にも携わっていきたいと思います。
総務の仕事は大きく2つに分けられます。
一つは庶務をはじめとする総務全般にわたる業務。
もう一つは採用人事や社員教育、労務管理などの分野です。
採用後がどちらの業務中心になるかは状況によって異なりますが、本人の希望と適性とのマッチングを見るために問われる質問でもあります。
素直に自分の希望を伝え、さらに前向きな姿勢を見せておくとプラス評価を得られます。
総務としては未経験とのことですが、事務職全般の経験はどのくらいありますか?
これまでに営業事務、一般事務、受付事務と経験しています。WordやExcel、Accessの操作は一通りマスターしています。
総務は幅広い業務を担当することになるので、社会保険事務などについても勉強しているところです。
エキスパートとしての採用ではない場合(未経験可の場合など)は、むしろ幅広く事務全般を担当することが予想されます。
何か一つの業務に精通していることも武器にはなりますが、回答例のように様々な事務仕事の経験があると、総務の仕事にもスムーズに移行できると判断されるでしょう。
ビジネスソフトの操作スキルなど、これまでの経験で何か生かせるものがあれば、ストレートにアピールしていきましょう。
総務を目指すならシェアードサービス会社を狙う方法もある
現在、大手グループ企業を中心に、総務や人事・経理など間接部門を集約する「シェアードサービス」を採り入れる流れが進んでいます。
グループ各社がそれぞれ総務部門などを持つよりも、すべてのグループを統括できる、総務に特化した部門や会社が一つあればいいという考え方です。
現在、ビジネスの効率化やコスト削減、品質向上を図るため、シェアードサービス会社はだんだん増えています。
「総務や経理に特化した部門(会社)なら、未経験の人なんて採用されないのでは?」という疑問が湧くかもしれません。
実際に、シェアードサービス会社では優秀な専門キャリアを持つ人を中途採用で確保するケースが多いのも事実です。
ただ、今は全国的に人材不足。理想とする専門知識や経験をもった人材を、すべてのシェアードサービス会社が充分に確保できているわけではありません。
また、新たにグループを再編する場合など、幅広く社員を募ることは想像に難くありません。
未経験でも、採用されるケースは少なくありません。
総務など企業のコーポレート部門の経験はなくても、基本的なコミュニケーション能力やポジティブな考え方、何よりもその仕事にしっかり取り組みたいという姿勢を見せることで、未経験のハンデを乗り越えることは充分可能です。
シェアードサービス会社はまだ歴史が浅く、グループによって取り扱う専門職種は様々です。
総務・人事・経理・法務などはよくありますが、中には保険代理業や人材派遣、情報システム、建設業など幅広く対応している会社もあります。
希望するシェアードサービス会社に自分が所属していた会社に関連している業務があれば、そこをアピールするのも有効です。
これから総務への転職を目指すなら、シェアードサービス会社に注目してみるのもいいでしょう。
自分なりの「理想の総務像」を描いて面接に挑むこと
総務という仕事に日の目が当たることはそれほど多くありません。
ただ、総務とは、社内の様々な情報が集まってくる部署であり、その会社のありとあらゆることを把握している人たちの集団であると言えます。
その影響力は、実際は計り知れないものがあるのです。
「総務に嫌われると仕事が回らない」「総務を邪険にすると事務処理で厳しく対応される」
そんな噂が流れることもありますが、実はその通りであることも多いです。
総務は長く勤め上げるほど社内の存在感が増していく職種です。
総務スタッフとは、社員一人ひとりの名前と顔を覚え、その人がどんな仕事をしているか、今どんな調子なのか、広くコミュニケーションをとりながら社内全体を俯瞰することが求められます(特に正社員の場合)。
決して単なる何でも屋ではなく、誰でもできる仕事ばかりするわけでもない。
効果や効率を重視してPDCAを回しながら、人の流れ・仕事の流れを常に円滑に進められるよう目を光らせている。
営業職や開発職にひけを取らないビジネススキルや頭の回転、地道な行動力が求められる仕事なのです。
簡単で単純な事務作業でお茶をにごそうかな、と思っていては、転職も覚束ないでしょう。
総務としてどんな存在感を発揮していくのか、面接時などで明確な将来像を語ることができれば、他の人より一歩も二歩も前に行ける可能性は高くなります。
総務へのキャリアチェンジを目指すには転職のプロと二人三脚が効果的
繰り返しになりますが、総務の仕事は応募する会社によってその幅も種類も様々です。
実際には入社後にそれらの仕事を覚えていくことになりますが、あらかじめ想定される分野の知識・技術習得に努めておくことは採用の可能性をグッと高めることにつながります。
そのためには、具体的にどんな準備をしていけばいいのか。未経験の分野だと、自分一人ではどうしても対策が不十分になりがちです。
そこでお勧めしたいのが、総務の仕事に関する知識が豊富で各企業の情報にも精通した、プロフェッショナルなパートナーの活用です。
転職の相談から企業への応募の手続き、面接の具体的な対策、報酬など待遇の交渉まで、すべて無料で任せられるのが、転職エージェント。
エージェントのキャリアアドバイザーは、未経験のあなたの手となり足となりブレーンとなって、転職成功への道筋を整えてくれることでしょう。
転職エージェントについて、こちらの記事も参考にしてください。