テレビをはじめとするマスメディア周辺の環境が激変している現在、CMプランナーを目指して転職活動に励んでいる人は、一時期よりも少なくなっていると思います。
それは、広告クリエイティブの仕事が華やかだった時代が終わったせいもあります。
インターネットの台頭でテレビのパワーが落ちている、というのは事実です。ただテレビCMの効果・役割は依然大きなものがあります。
テレビCMが面白くなくなった、といった声も聞こえてきますが、そんなセリフはもう何十年も前から言われていること。
今どきのCMプランナーは、移り変わる時代の流れをうまく取り入れながら、自らも変化しつつ、広告表現を創造し続けています。
今回は広告クリエイティブの中でも、CMプランナーへの転職に的を絞って解説していきます。
Contents
CMプランナーの仕事とは
最初に、CMプランナーという仕事の概要を説明します。
本気でCMプランナーを目指している人なら知っていることばかりですので、不要な方は次の段落まで飛ばしてしまって結構です。
CMプランナーの仕事
テレビCM、ラジオCM、最近ではWebムービーなど、企業や商品のCMのストーリーを作成する仕事です。
「プランナー」の名前の通り、CMの企画構成、ストーリー構成、セリフや出演者などの原案を作ります。
仕事のほとんどはチーム単位で行い、クリエイティブディレクター(CD)が提示するコンセプトを基に、CM企画を考えることになります。小さな会社や、少人数の仕事になると、CMプランナー自らがコンセプトを決め、企画も手がけることもあります。
CM制作の仕事の流れ
仕事の流れ(制作過程)は千差万別ですが、一例を挙げてみます。
1.オリエンテーション
クライアント企業からCM制作の依頼があり、訴求してほしい内容の説明を受けます。クライアントから指名されて制作を請け負うこともあれば、複数の競合となることもあります。
オリエンにCMプランナーが立ち会うかどうかはケースバイケースです。出席しない時は、後に出席者からあらためて説明を受け、仕事がスタートします。
2.調査及びCM企画
発注を受けると、その企業や商品についてあらゆる角度から調査していきます。マーケの資料やレポートを参照することもあります。
クライアントのオーダー、商品のセリングポイント、ブランド力、競合情報など、様々な情報をインプットしながら、企画の全体像を考えていきます。
CMをはじめ広告の基本スタイルは、「何を言うか」「どう言うか」を絞り込むことです。CM企画においても、まずは「何を言うか」を設定してから、「どう言うか」「誰に言わせるか」「どんなシチュエーションで言わせるか」などを絡めながら、企画やストーリーをプランニングします。
3.絵コンテ作成〜絞り込み
CM企画はコンテで提案することが多いです。社内の打合せ段階では、絵コンテといってもざっくりした落書きのようなものでOK、字コンテの場合もあります。
CMプランナーが考えた企画を、社内のスタッフで検討しあう打合せが行われます。
CMプランナーは複数人いることも多く、提出された多くの案の中から良い企画が絞り込まれます。良い企画が出なかった場合は、何度でも提出〜絞り込みを繰り返すことになります。
若手のうちはとにかく数を出すことが求められる傾向があり、一人で何十案も提出することも珍しくありません。しかも提出する案には、何らかの芸(笑わせる、泣かせる、驚かせるなど)がなければなりません。
CMプランナーにとって、社内の打合せは最初の戦場になります。
4.プレゼンテーション
絞り込んだ案の中から、クライアントに提案するものをさらにピックアップし、プレゼンテーション用に綺麗なコンテとして制作します。プレゼンの時点で、仮のムービーを制作することもあります。
プレゼンにはその企画を担当したCMプランナーも参加することが多いです。実際に提案者となるかどうかは、ケースバイケースです。
5.実制作
クライアントに認められ、CM企画が採用されると、実制作に入ります。
CMディレクター(演出家)が詳細な演出コンテを制作し、実際の時間の流れに沿ってストーリーをはめ込んでいきます。
出演者オーディション、ロケハン、ロケ撮影、スタジオ撮影、編集作業など、CMプランナーも基本的にはすべての工程に参加します。現場での修正や変更が入れば、超特急で対応することになります。
撮影・編集・MAが終わり、クライアント試写を経て、OKが出れば無事納品となります。
CMプランナーを目指すならコピーを勉強すること
ここでは、CMプランナーになるために必要なスキル面について説明します。
CMプランナーになるための国家資格はありません。極端な話、採用された会社・部署で、「おまえ今日からCMプランナーな」と言われればそれでCMプランナーとしてのキャリアがスタートします。
しかし、企業や商品の膨大な訴求ポイントを数十秒にまとめあげ、さらに、積極的に見るつもりもない一般の人たちにメッセージを伝えるには、それなりの技術や仕掛けが絶対に必要です。
そしてそうしたスキルは、一朝一夕に身につくものではありません(ただし天才を除く)。
現在成功している著名なCMプランナーは、最初にまず広告コピーをしっかりと勉強した人が少なくありません。コピーを書く技術は、CMのストーリーを考える技術、人の注目を集めるためのアイデアをひねり出す技術にもつながるからです。
有名なトレーニング方法では、コピー年鑑から自分の書きたいコピーをピックアップして書き出す(写経)ことです。書き写しながら、キャッチとボディの関係や、売りの言葉の洗練、人の心に響く表現方法など、先人の作品に学びながらその方法を自分に取り入れていくのが重要です。
CMはタグラインが重要な広告表現
「タグライン」とは、CMの最後に来る、ストーリーを締めくくりCMと商品とをつなげるコピーです。
有名どころのタグラインを挙げるなら、
「Think Different.Apple」
「考えよう。答えはある。へーベルハウス」
「昨日まで世界になかったものを。旭化成」
「Just Do It.NIKE」
CM企画の核であり、全体のコンセプトにもなりうるタグラインは、コピーライターが考案する場合もありますが、CMプランナーが作り出せたならCMとの一体感やつながりもさらに増すでしょう。
ビシッと決まるタグラインを作るためには、上記で述べているようなコピー制作のスキルが必要ですし、物事を論理的に捉える能力も必要です。
さらに、広告はクライアントの利益を考えるべきものである以上、ただ生活者目線のみで捉えることのない、ある程度のバランス能力も必須になってきます。
タグラインは、すべてのマーケティング要素が凝縮された一言です。CMプランナーが考えるCM企画の着地点であり、CMだけでなくすべての広告・プロモーションの共通認識でもあります。
タグラインの時代は終わった、という人もいますが、広告づくり・CM制作の基本として、まずはタグライン発想という制作スキルを身につけることが大事なのです。
CMプランナーは変態的な要素も武器になる
毒にも薬にもならないようなCMは世に溢れていますが、これからCMプランナーを目指そうという志高い人は、よもやそんな低品質な企画を生み出そうなどとは思っていないでしょう。
広告代理店や広告制作会社でCMプランニングを行っている人は、皆社会人としての常識や、高い知性や観察眼を持っています。その上で、どこか変態性を伴う考え方や、そこらのオタク顔負けの深い知識を併せ持っている人が、少なくありません。
世界的な超希少鳥類のアラリペマイコドリのことなら誰にも負けません!といった、普通の人は誰も触れたことのないようなオタク要素も武器になりますが、
ここ50年分の広告のことならコピー年鑑からカンヌまですべて網羅しています!という広告そのものへのオタクっぷりを持つ人も、CMづくりには非常に役立つことでしょう。
CMなど広告表現にする際には、ある程度オブラートに包むことも必要ですが、そういった非日常的・変態チックな要素ほど、一般視聴者の興味関心を惹きつけるもの。
ちょっとネットを漁るだけでは決して見えてこない、本当にディープなネタを豊富に持っている人ほど、CMプランナーとして差別化できる存在になり得るのです。
ただ、すべてのCMプランナーが変態であるべき、というわけではもちろんありません。
今の時代は、CMプランナーだけでなく、広告クリエイティブに携わるすべての職種に、ジャンルの壁を超えたオールマイティな働きを求められているという一面もあります。
そんな中で、「何でも屋」に成り下がってしまわないよう、自分だけの、自分ならではの武器を極めることも大切ということです。
代理店or制作会社?CMプランナー志望者が目指すべき会社は
仕事内容やスキルに関しては、だいたいわかった。では、どうすればCMプランナーとして転職できるのか?
現代の日本においてCMプランナーを目指すのであれば、まずは広告代理店か広告制作会社への転職(入社)を成功させることが第一です。
CMの仕事は、ほぼすべてを広告代理店及び広告制作会社が請け負って制作しています。地方でオンエアされる予算の少ないCMの中には、その地方のテレビ局(テレビ番組制作会社)やラジオ局が自主制作するケースもありますが、まれです。
またジャパネットたかたのように、自前のスタジオを用意してCMを制作するクライアントもありますが、非常にレアケースです。
まずは広告代理店か広告制作会社に入社して、さらにクリエイティブ部署に配属されることが、CMプランナーとして最初の一歩を踏み出す条件になります。
単に「CMプランナーになりやすさ」のみで考えるなら、中小規模の代理店や制作会社に転職した方が、望むポジションに就く可能性は高くなります。転職応募の際も、ズバリ「CMプランナー募集」という場合もあります。
大手となると、クリエイティブ職募集には常に大量の経験者が殺到するため、仮に未経験者であったり、何も誇れるような実績のない人は厳しいでしょう。
まずは何より、広告クリエイティブの実績を積むことを優先したい!という現実的な路線を目指す際は、ライバルの少ない地方や中小規模の広告関連会社を目指すことがおすすめです。
教わりたいor超えたい上司がいる会社を選ぶ
将来はどんなCMプランナーになりたいか、ということにもなりますが、理想の先輩CMプランナーのいる会社を志望してみるのも一つの有意義な方法です。
あのCMを作った人と仕事がしたい、自分も先輩のようなCMがつくりたい、そんな志は転職のための努力やモチベーションアップにも影響してきます。
誰がどんなCMを制作しているかの情報は、広告専門雑誌「宣伝会議」「ブレーン」や、「コマーシャルフォト」などを読んだり、Webサイトをチェックすればわかります。
スタークリエイターであれば、専門のムックが出版されていたり、広告雑誌やWebサイトでインタビューや特集記事が掲載されたりすることもあります。
また地方のCMクリエイターでも、著名な仕事っぷりをしている人は、多くのメディアに登場したりしています。
自分が転職を希望する会社が制作している広告・CMを調べて、面接などの際に、「私もこういった制作物をつくりたいのです!なぜなら…」といった熱い意欲を見せることは、とても重要です。面接官はスキルやキャリアはもちろんですが、人柄や熱意などといった内面もしっかり見ています。
武器を持たない人ほど、周到な準備を重ねた上で面接などに臨むように心がけることです。
CMプランナーへの転職を目指すなら専門の転職エージェント活用を
CMプランナーをはじめクリエイティブ求人は表に出ているものがすべてではありません。非公開の情報も数多くあり、それは転職エージェントに登録していなければ知ることのできないものです。
また大手代理店や有名な制作会社は狭き門となることも多く、チャレンジする機会をいろいろと確保しておくことも必要です。
持っているスキルや経歴を武器にして、一番力が発揮できるのはどの会社か、またそこに入社するための有効な手立てなど、エージェントとのやりとりの中で明確にしていくことが、転職成功への近道になります。
クリエイティブ転職を成功させるために、ぜひ専門の転職エージェントの利用も念頭に進めていきましょう。
広告業界、広告クリエイティブ職への転職を目指すなら、まず最初に登録すべきは「マスメディアン」です。
マスメディアンは広告・Web・マスコミ職種に専門特化した転職エージェンシーであり、その転職支援実績は4万人以上(!)とトップクラスを誇っています。
何より宣伝会議グループなので、業界のあらゆる情報において質・量ともに他の追随を許さないものがあります。
特徴の一つは、企業ごとに専任の担当者がいること。
たとえば同じCMプランナーの求人であっても、電通と博報堂では採用のための傾向・対策が異なる場合があります。
そういった企業ごとの選考ポイントや評価軸をしっかりと押さえているので、マッチングがより的確であり、採用可能性も高くなるのです。
自分の希望や条件に合わない求人情報をいくら提示されても、時間と労力のムダになります。
豊富な情報から可能性のあるものをある程度絞り込み、そこに集中して注力することで、転職活動の効率と成功率をアップさせることができる。
それを実現しているエージェントと言えるでしょう。
転職相談できるのは、東京(本社)、大阪(関西本部)、名古屋(中部本部)、福岡(九州本部)、金沢(北陸本部)と、大都市圏が中心ですが、本気で転職に挑むのであれば自分のもっとも近い拠点に行って直接相談してみるべきです。
実際に訪問し、密にコミュニケーションをとることで、見えてくるものもきっとあります。
「広告界でがんばる20代・30代の転職相談会」「《履歴書・職務経歴書のつくり方》個別相談会」など、個別の相談会も開催していて、履歴書・職務経歴書・ポートフォリオなどの書類を持参しなくても参加OKという、気軽に利用できそうな相談会も複数あります。
広告クリエイティブ職は、一生を託すに値する、とてもやりがいのある仕事です。
世の中を面白くする、世界を動かす、そんな広告を生み出したいと願うのなら、この機会に具体的な一歩を踏み出してください。
宣伝会議グループ「広告・Web・マスコミの転職はマスメディアン」
広告クリエイティブ関連の転職に興味がある方は、以下の記事も参考にしてみてください。
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